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NCAA|〈5年目資格〉を巡る法廷闘争が波乱を呼ぶ、ケンタッキー・アリゾナが移籍市場の勝ち組に

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開幕を約2ヶ月後に控えた大学バスケ界で、シーズンプレビューよりも法廷闘争がニュースの中心を占めている。「卒業したはずの選手たちに、もう1年プレーする資格があるのか」という一点を巡り、複数の州で判決が相次ぎ、8月に入って異例の〈再オープン〉移籍市場が生まれている。

発端は〈5年目資格ルール〉の適用除外

NCAAは今年6月、新たな出場資格モデル「5-for-5ルール」を承認した。これは選手が大学入学(またはその選手が19歳になった年度のいずれか早い方)から5年間で最大5シーズンの出場を認める仕組みで、2026-27シーズンから新規入学する選手に適用される予定だった。

問題となったのは、このルールの狭間に落ちた〈2022年高校卒業組〉だ。新型コロナ特例で救済された世代と、新ルールの恩恵を受ける世代のちょうど中間にあたり、2025-26シーズンで旧ルール上の4シーズン目を消化し終えたこの世代の選手たちは、新ルールの対象から外れる形になっていた。

これに対し、まずオハイオ州の裁判所が7月9日、24人の選手を対象に仮の差し止め命令を発令。NCAAの運用を「恣意的かつ気まぐれ」と断じた。続く7月31日には、コロラド州の連邦地裁がクラスアクション(集団訴訟)扱いでこのルールの適用を認め、対象は「2022年に入学し、旧ルールで4シーズンの出場資格を使い切った全選手」に拡大された。同日にはテネシー州の裁判所も、バンダービルト大学のジェイレン・ワシントンら19人の選手に個別の資格を認めている。

移籍市場が異例の“再オープン”

この判決を受け、8月3日から10日にかけて対象選手向けの特別な移籍ウィンドウが設けられ、すでに一度キャリアを終えたはずの有力選手たちが続々と移籍市場に姿を現した。UCLAのドノバン・デント、ミズーリのマーク・ミッチェルらがその代表格だ。

米メディア「CBS Sports」によれば、この“ボーナスシーズン”の恩恵を最大限に活用しているのがビッグ12カンファレンスだ。テキサス・テック、シンシナティ、BYU、ウェストバージニア、オクラホマ州立、アリゾナ、ヒューストンの7校が、この1ヶ月で計12人もの5年目シニア選手の獲得に成功している。SECも7人の獲得で追随している。

個別の獲得例では、ケンタッキー大学がミズーリからマーク・ミッチェルを獲得し、247Sportsの移籍クラスランキングで首位に立った。セント・ジョンズ大学も、エース級選手のアキレス腱断裂という緊急事態を受け、SECで得点ランキング5位だったガードを獲得するなど、緊急補強にこの制度を活用している。

〈フェアではない〉批判の声も

一方で、この事態を歓迎しない声も大きい。ACC・ビッグ12・ビッグイースト・ビッグテン・パック12・SECの主要6カンファレンスは共同声明を出し、「各校のアスレチック部門が想定していなかった5年目シーズンを選手に与えることは、深刻なロースター不安定化を招く」と主張。すでに約束されていた新入生の出場枠を奪う結果になりかねないと懸念を示した。

米バスケメディア「Front Office Sports」は、今回の判決が〈全面解禁〉ではない点にも注意を促している。NFLトレーニングキャンプ参加者やNBAツーウェイ契約を結んだ選手、24歳以上の選手は引き続き対象外であり、また今回の判決は新たな一般選手向け移籍ウィンドウを開いたわけでもない。あくまで「対象となった選手が、2025-26シーズンに所属していたチームに残る」という限定的な救済措置だという。

NCAA側はすでに控訴の準備を進めており、法廷闘争はシーズン開幕直前まで続く見通しだ。


出典

  • CBS Sports「How legal challenges by college basketball players could lead to 11th hour transfer portal chaos」
  • CBS Sports「College basketball transfer portal five-for-five tracker: Grading each move in unparalleled free agency window」
  • ESPN「Judge grants injunction for Class of ’22 athletes seeking 5th NCAA season」
  • Front Office Sports「How NCAA Athlete Eligibility Limbo Has Sown ‘Actual Chaos’」
  • Bloomberg Law「NCAA Gets Temporary Reprieve on Players’ Fifth-Year Eligibility」

Photo: Adam Bouse / Unsplash