J-Hoopers・High/Prep|佐藤凪、渡邊雄太の母校で始まる勝負の1年
アメリカ東部の名門プレップスクールに、日本から新しい司令塔が加わった。コネチカット州のセント・トーマス・モア(STM)に入った、佐藤凪(さとう・なぎ)選手だ。
地元の専門メディア「New England Basketball Journal」は9月25日のシーズン展望で、佐藤選手を紹介した。表現は『lightning-quick』。稲妻のように速い、日本出身のPGだという。
STMは、渡邊雄太選手が大学進学前の1年を過ごした学校でもある。49季目を迎える名将ジェリー・クイン監督のもと、全米レベルの有望株たちと出場時間を争う1年が始まる。
スラムダンク奨学生としてアメリカへ
佐藤選手は神奈川県出身。京都の強豪・東山高で司令塔を務めた。高校3年生だった2025年9月、「スラムダンク奨学金」の第19期生に選ばれている。
高校を卒業した選手に、アメリカのプレップスクールで学び、プレーする機会を用意する。前年の第18期生・関谷間選手も、STMに留学している。
2026年1月には、B1の横浜ビー・コルセアーズに特別指定選手として登録された。特別指定選手とは、学生のままプロの試合に出られる制度のこと。佐藤選手は高校生ながらBリーグのコートに立ち、トップレベルを肌で知ってから海を渡った。
STMでのプロフィール
- 学年:ポストグラデュエイト(高校卒業後の1年)。2027年卒業予定の「Class of 2027」として登録
- ポジション:ポイントガード
- 身長・体重:5フィート10インチ(約178cm)・165ポンド(約75kg)
- ウィングスパン:6フィート(約183cm)/スタンディングリーチ:7フィート5インチ(約226cm)
- 所属:トップチームにあたる「National Team」
※学校公式ロスターより。身長はチームに確認した数字。

全米王者を知る名門、セント・トーマス・モア
STMはコネチカット州オークデールにある男子全寮制の進学校だ。プレップの最上位リーグ、NEPSAC Class AAAに所属する。2011年には全米プレップ選手権を制した。2年前の2024-25シーズンにも全米決勝まで勝ち上がり、パットナム・サイエンスに惜敗している。
昨季は25勝13敗。NEPSACでは1回戦でフーサックにブザービーターで敗れ、全米プレップ選手権はベスト16で終わった。クイン監督は、シーズン終盤に主力2人がけがをしたことが響いたと振り返っている。
卒業生には、アンドレ・ドラモンド選手、デイミオン・リー選手ら多くのNBA選手がいる。
渡邊雄太、崎濱秀斗、そして佐藤凪
STMと日本人選手のつながりは深い。渡邊雄太選手は2013-14シーズンにSTMでプレーし、その後ジョージ・ワシントン大を経てNBAにたどり着いた。
2024年には、同じPGの崎濱秀斗選手がSTMに在籍し、メリマック大へのコミット(進学の約束)を表明した。崎濱選手はその後、琉球ゴールデンキングスを経て、今はマーシーハースト大の大学1年(Freshman)だ。佐藤選手は、この〈STMの日本人ガード〉の系譜に続くことになる。
49季目の名将ジェリー・クイン
クイン監督は今季が就任49季目。これまでの48季すべてで勝ち越しているという、驚きの記録の持ち主だ。
New England Basketball Journalの取材に対し、クイン監督は、過去にどれだけ勝ってきたかは今季には関係ないと話した。今も指導を心から楽しんでいて、選手たちが自分の進む道を見つける手助けにやりがいを感じているという。ガード陣については、相手にとって守りにくい布陣になると自信を見せた。
佐藤選手を含む海外出身のPG3人については、いずれも母国で厳しい試合を経験してきた重要な選手だと評価している。そのうえで、うまい選手たちの中でどうプレーするかを早く身につけるほど、チームは強くなるとも語った。
地域トップクラスの同級生と出場時間を争う
今季のSTMは13人のロスターのうち5人が残留組だ。さらに、2027年卒のニューイングランド地域ランキングでトップ10に入る選手が4人もそろう(New England Basketball Journal調べ)。
- パトリック・オーティ選手(2位、6フィート5インチ=約196cmのガード):昨季は平均21.4得点・7.7リバウンド・4.6アシスト
- デクラン・グリフィス選手(3位、6フィート8インチ=約203cm):エイボン・オールド・ファームズからの新加入。3ポイントが武器
- DJ・ホーキンス選手(4位):STM在籍3年目。チーム屈指の身体能力
- グレイソン・ピアース選手(7位):小柄な布陣ではセンターも担うシューター
このほか、シエナ大にコミットしたディロン・キャラハン選手、ディビジョン1(NCAAの最上位)候補のジェイデン・ジョンソン選手もいる。
海外勢も多彩だ。英国U18代表のトビー・ガス選手(6フィート8インチ=約203cm)、セルビア出身のフィリップ・ライチェビッチ選手(6フィート6インチ=約198cm)がいる。同メディアは佐藤選手を含むこの3人を、ベンチから大きな役割を担う新戦力に挙げている。
アメリカ挑戦への一つの道
佐藤選手は、日本の高校を卒業してからプレップで1年を過ごす〈ポストグラデュエイト〉だ。STMはもともと、こうした1年だけの選手を中心にチームをつくってきた。大学進学の前に、アメリカで1年かけて実力を磨く道といえる。
2027年卒業予定の選手にとって、今季は大学のスカウトが本格的に動くシーズンだ。STMには、全米レベルの大会を回る「National Team」と、もう1つの「Prep Team」がある。
日本で実績を積んでからプレップに入る道は、大学への近道になりうる。同時に、全米トップクラスとの競争に1年目から飛び込む道でもある。佐藤選手の1年は、その両面を見せてくれるはずだ。
今後の主な日程(National Team)
- 11月11日:開幕戦(ホーム、ロックトップ・アカデミー戦)
- 11月20〜21日:National Prep Showcase(コネチカット州ニューヘイブン)
- 12月6日:ブリュースター・アカデミー戦(ホーム)
- 1月15〜17日:Hoophall Classic
- 3月:NEPSACプレーオフ、全米プレップ選手権
※学校公式の日程表より。日付は現地時間。
出典
- New England Basketball Journal「St. Thomas More: What to expect in prep boys basketball for 2026-27」(2026年9月25日)
- St. Thomas More School「Basketball Schedule & Roster」
- MANTANWEB「Kyoto high school student Nagi Sato receives 19th scholarship to travel to the US in 2026」(2025年9月16日)
- Proballers「Nagi Sato statistics」
- GW Athletics(渡邊雄太の入学契約発表、2014年4月17日)
- The Mack Report「Japanese point guard Shuto Sakihama commits to Merrimack」(2024年8月22日)
- Mercyhurst Athletics「2026-27 Men’s Basketball Roster」
Photo: Dayna Cass, St. Thomas More School
※アメリカの高校は4年制(9〜12年生)。高校1年=Freshman(フレッシュマン)、高校2年=Sophomore(ソフモア)、高校3年=Junior(ジュニア)、高校4年=Senior(シニア)に相当する。